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「どうして、豊胸なんてしたんですか」

執筆者の写真: sachikobeth
sachikobeth
8月5日
読了時間: 3分
保険診療で乳腺外科のトレーニングを積んでいた頃、忘れられないシーンがある。
「どうして、豊胸なんてしたんですか」
他の乳腺外科医師が、豊胸歴のある乳がん患者さんに向かって放った言葉だった。
その医師は、全身で怪訝な感情を表現していた。

写真は
写真は

傍で聞いていた私の心も傷ついた。

20年ほど前に、豊胸をした事がある患者さんの診療に当たっていた時の事だ。

「豊胸なんてしたから、乳がんになってしまったんでしょうか」

と不安げな表情で質問をする患者さんに対する他の医師の返答が、タイトルの通りだった。


患者さんは、「そうですよね…」とさらに泣きそうな表情で小さな声で仰った。

この出来事によって、私は「豊胸を安全に行う医師の存在が必要だ」と思うに至った。


ちなみに、豊胸と乳がんの発症に関係はない。

そして、多くの乳腺外科医にとって、豊胸が悪いイメージを持たれている事も事実である。

その理由について、当時の私は考えた。


確かに、私自身も乳腺外科の診療を行っていると、

大学病院やがん専門病院に豊胸後のトラブルでいらっしゃる患者さんはほぼいないが、

市中病院で勤務していると、豊胸後のトラブルにも遭遇した。


「昔、アクアフィリングを入れて、変形して腫れてきた。」

「シリコンバッグを入れた後にバストが変形した。」

「豊胸後にバストの色が変わってきた」

などのご相談を受ける事があった。


受診された患者様に、手術をした病院への受診をしたか聞くと、

「乳腺外科に行くように言われた」

「もうその病院はないんです」

という無責任な対応をされた方も少なくない。

私だけでなく、多くの乳腺外科医がこのような経験をしていると推察する。


その結果、

「乳腺の知識がない美容外科医が乳腺をメチャクチャにする手術」

というイメージが持たれてもおかしくないかな、と思った。

その結果が、乳腺外科医の多くが豊胸への嫌悪感を示すということなのだと思う。


私自身は、

「豊胸をしたい」と思う気持ちや、豊胸手術自体には肯定的である。

目的が明確でない場合や、豊胸自体がゴールになっている場合は

手術をお断りすることもある。

「豊胸手術を通して、自分がなりたい自分に近づく」

という目標のために、豊胸手術を手段と理解されている場合、

知識と技術を通してお力添えをさせて頂く。


そして、他の乳腺外科医も安心出来る豊胸手術を行うことを心がけている。

実際に、豊胸手術後に

「前向きな気持ちになった」

「新しい人生のきっかけになった」

「自信が持てるようになった」

「ファッションが楽しめるようになった」

「憧れる側から、視線を感じる側になった」

「鏡を見るたびに嬉しくなる」

等のお声を頂く事が多く、実際に豊胸手術によって、

バストだけではなく精神面や人生においてプラスの効果が得られる場合も多いと感じる。


このような素晴らしい手術が、

乳腺外科医からも「女性がより笑顔で過ごすための手段」として快く認められる文化になると良いな、と感じる。


美容業界では、

成約のためであれば、リスクを隠して手術を行うクリニックも存在する。

豊胸手術を受ける患者さん自身が自分のバスト及び手術に対しての理解を深めることを目標として、正しい知識の発信を行い続けようと思う。


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